心・身体の不調や病気
2018.12.26

肩こりの原因は?―中年男性に多い肩トラブルの原因と対処法―

肩の関節は人体で最も可動域が大きい。その分、仕事はもちろん、ゴルフや野球などのスポーツ、日常の何気ない動作でダメージを受けやすい部分である。40年も50年も酷使され続ければ、肩も悲鳴を上げたくなるだろう。ここでは、肩こりや五十肩をはじめとした肩の痛みの原因や対処法をお伝えする。また、肩こりだと思っていたら別の病気が原因だった、ということもある。肩の痛みにお悩みなら、ぜひ読んでいただきたい。

人間、半世紀近く生きていれば、あちこちにガタが来てもおかしくない。なかでも肩こりはメジャーなもので、日本人男性の自覚症状ランキングの第2位だ[1]。肩こりの主な症状としては、肩・背中・首の張りや凝り、痛みである。腕が上がらなかったり、腕を動かすと激しく傷んだりするようなら、五十肩かもしれない。このような肩の痛みを起こす原因は様々なものが考えられる。

肩の痛みを起こす主な原因
運動器の病気:肩こり、五十肩、腱板断裂、変形性肩関節症、頚椎椎間板症など
運動器以外の病気:肺や心血管の病気など
ストレスや精神面の不調など:うつ病、更年期障害、自律神経失調症など

この中から、まずは40~50代の男性に多いと考えられる肩こりと五十肩を中心に解説していこう。

運動器の病気による肩の痛み(肩こり、五十肩)の原因

人間の腕というものは、片方で約3kgの重量があるといわれている(体重50kgの場合)。それを肩の関節が支え、身体の動きに合わせてバランスを取っている。そう考えると、重い物を持って掲げる動作はいわずもがな、先端に重りの付いた細長い棒を素早くグルっと回さねばならないゴルフなどは、肩の関節や筋肉にかなりの負担がかかっていることが容易に想像できるだろう。

肩こりの原因と対処法

肩にダメージを与えるのは、上記のように分かりやすく肩に負担がかかる動作だけではない。一般的なデスクワークであっても、ジワジワと肩への負担がかかる場合がある。その代表的なものが「猫背」である。

猫背になると、約5kgあるとされる頭部(体重が50kgの場合)の重心が前に傾き、それを支え続けるために首~肩~背の筋肉(僧帽筋や深部にある筋肉群)がずっと緊張を保たなければならない。筋肉が緊張(収縮)したままだと、その中を通る血管が圧迫されて、血行が阻害される。すると酸素や栄養が届きにくくなり、筋肉が疲労してくる。こうなると肩こりとして自覚されるようになる。

肩こりを起こしている部分には、痛みを引き起こす物質(疼痛物質)が溜まってくる。しかも血行が悪いので、その痛み物質はいつまでも同じ場所に残り続け、痛みを感じる神経を刺激し続ける。また、脳は痛みを感じた部分の筋肉を反射的に収縮させる。筋肉が収縮するとさらに血行が悪くなる…という負のスパイラルに陥ってしまう。

このような肩こりのスパイラルから抜け出すためには、肩に負担のかからない正しい姿勢で過ごすことだ。顎を引いて背筋を伸ばし、後頭部と肩と腰が一直線上で結ばれるような座り方が望ましい。また、同じ姿勢を長く続けないようにすることも大事だ。デスクワークを1時間したら、首の根本に指先を当てて肩を回すなどの簡単な体操をする習慣を付けるとよいだろう。

肩こりを放置しておくと、キリキリと頭が絞られるような痛みが特徴の頭痛(緊張型頭痛)になったり、吐き気を催してきたりすることもある。セルフケアでなかなか改善できないようなら、整形外科などの専門家に診てもらうことを検討しよう。

五十肩の原因と対処法

もし、眠れないほどの痛みがあったり、腕の外側が傷んだり、腕が上がらないなどの症状がある場合は、五十肩かもしれない。他人に腕を上げてもらっても痛みのために上げられないようなら、五十肩である可能性が高い。

五十肩は医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、その名の通り、肩関節の周りに何らかの原因で炎症が起こる病気だ(炎症が起こる理由はまだよく分かっていない)。炎症が起こった部分はやがて癒着し、動きが悪くなる(拘縮;こうしゅく)。このことから「凍結肩」(frozen shoulder)という名称もある。

五十肩のよくあるパターンとしては、発症から約3か月(急性期)には非常に強く痛み、その後1年くらいかけて肩関節の動きが制限されるものの痛みがやわらぎ(拘縮期)、1~2年で肩の動きが改善してくる(回復期)というものだ。急性期は炎症が強く起こっているため、無理に動かそうとせず、三角巾などで固定して安静にするのが基本だ。痛みについては病院でもらえる痛み止めの薬や注射で対処する。痛みが減ってくる拘縮期になったら運動を始め、固まった関節をほぐしていく。このリハビリを行うことで、肩が動かせる範囲を広げていくことができる。

五十肩はこのような経過を辿って自然に治ることが多いが、なかなか治らないケースもある(五十肩だと思っていたら腱板断裂などの別の病気だった、ということもある)。いずれにせよ、非常に痛みが激しいなと思ったら、我慢せずに整形外科などを受診してほしい。

運動器によらない肩の痛みの原因

最後に、運動器が原因ではない肩の痛みについて簡単に触れる。冒頭で述べたように、肩の痛みは運動器以外の病気(肺や心血管の病気など)や、ストレスや精神面の不調など(うつ病、更年期障害、自律神経失調症など)で起こることもある。

前者は関連痛と呼ばれるもので、内臓など別のところに問題があって、本来はその部分だけが痛むはずなのに、痛みの神経の走行の関係で肩も痛いように感じるというものだ。例えば狭心症や心筋梗塞が起きたときに、胸だけではなく左肩の痛みとして自覚されることがしばしばある。

後者については、ストレスや精神的な不調などが身体の痛みとして表出した身体症状としての肩の痛みだ。うつ病などが有名だが、40~50代の男性の場合は男性更年期障害(LOH症候群)の一症状としても起こり得ると言われている。肩の痛みだけではなく、気分の落ち込みがあったり、性欲の低下などがあったりしたら、この可能性も検討してみるといいだろう。詳しくは『疲れやすい、勃たない…40代から増える「男性更年期」にご用心!』を参照していただきたい。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. 平成28年 国民生活基礎調査の概況
  2. ・井樋栄二. “肩関節” 標準整形外科学 第12版. 松野丈夫ほか監修. 医学書院 2015; 434-457

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