心・身体の不調や病気
2018.12.03

男の尿漏れの原因は?―尿漏れ対策で自信を取り戻そう―

トイレ後に尿がチョロっと出て下着に染みた、トイレに間に合わず漏らしたといった「尿漏れ」は、中年男性の3~4人に1人は経験している、割とよくある症状だ。尿漏れなど些末なことと気にしない豪快な方はさておき、恥ずかしくて誰にも相談できずお悩みの方は、当記事をこっそり読んでいただきたい。尿漏れ対策からその原因、EDとの関係について解説している。

多くの中年男性が密かに悩んでいること。その一つが「尿漏れ」だ。トイレを出た後に、残っていた尿がチョロっと出て下着に染みた、突然の強い尿意で間に合わず漏らしてしまったという経験はないだろうか。尿漏れがあると自分にがっかりして自信を失うし、臭いで周囲に不快感を与えているのではと不安になったり、事実を素直に認められなかったりもする。

2017年に花王株式会社が行った調査では、尿漏れの症状がある男性は40代で23%、50代で26%、60代では33%にのぼった[1]。中年男性の3~4人に1人は悩んでいるという計算だ。ここでは、まず尿漏れへの対策法を紹介したうえで、どうして尿漏れが起こるのか、そして尿漏れとED(勃起不全)の関係について解説する。

尿漏れの対処法(セルフケア)

尿漏れには軽く染みる程度からズボンがビシャビシャになる程度まである。よくある尿漏れについて対策をご紹介していこう[2]。

トイレ後にチョロっと出る尿漏れ対策

最も多くの男が経験しているのは、トイレを出た後に、残っていた尿がチョロっと出て下着やズボンに染みる、というものではないだろうか。「尿滴下」と呼ばれるこの症状に対して、放尿後すぐにパンツを履かずに少し待ったり、よく振って残った尿を出し切ったり、ペーパーで拭いたりするのはよく行われている工夫だ。これに加え、下図の「ミルキング操作」も試してみてほしい。

このような工夫をしても尿漏れが続くようなら、尿漏れ用のパッドを使うことをおすすめする。近年では男性用の薄くて目立たない商品が数多く出てきており、ネットなら誰にも見られずに買うこともできる。よい時代になったのだから、妙な意地を張らずに導入しよう。

排尿筋や膀胱をトレーニングする

排尿する機能は、加齢による筋力の低下によって次第に衰えてくる。この筋力を回復させるためのトレーニングが「骨盤底筋体操」と呼ばれるもので、尿漏れ対策に有効だと言われている。肛門を意識的に締めたり緩めたりする運動をすることで、排尿する際に必要な筋肉を鍛えることができる。

また、一度でも尿漏れを経験すると、同じことを繰り返さないようにこまめにトイレに行くようにする人がいる。勤務中や外出先など、尿漏れしてしまっては困る場面では仕方ないが、そうではない家などでは、ぜひ「膀胱訓練」をしてみてほしい。その名の通り、膀胱に尿を貯めることを訓練させるというものだ。

なぜそんなことが必要なのかというと、軽い尿意が起きた段階でこまめにトイレに行く習慣があると、次第に膀胱で貯められる尿の量が減ってきてしまうからだ。尿意は膀胱に尿が半分くらい貯まった段階で発せられる。この時点でトイレには行かず、5分我慢、10分我慢、15分我慢…というように、できる範囲で少しずつ膀胱に我慢をさせることで、十分な量の尿がしっかり貯められるようになっていく。

生活習慣の見直しも重要

排尿機能を左右する要因として、膀胱や尿道にしっかり血液が巡っているか、という点も重要だ。糖尿病や高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどによって血管が傷つくと、動脈硬化を起こして血行が悪くなってしまう。

また、これらの生活習慣病やストレスによって交感神経が優位な状態が続くと、やはり血流障害などによって排尿機能が弱くなってしまう。この機会に生活習慣をぜひ見直していただきたい。詳しくは『メタボが男の活力・精力を奪う―原因を知って対策を!―』を読んでほしい。

男の尿漏れはLUTSの一つ、そしてLUTSはEDの前兆

ここまで、ミルキング、骨盤底筋体操、膀胱訓練といった尿漏れのセルフケアを紹介した。ここからは、どうして尿漏れが起こるのか、その原因について解説していこう。

男の排尿トラブルは多彩

40歳以上の男に多い排尿の症状は、夜間頻尿(睡眠中にトイレに行く)、昼間頻尿(日中のトイレ回数が多すぎる)、尿勢低下(以前より尿の勢いが弱い)、残尿感(排尿後に膀胱が空になっていない感じがする)、尿意切迫感(強い尿意が急に起こり我慢できない)、切迫性尿失禁(尿意切迫感とともに意図せずに尿が漏れる)といったものだ[3]。心当たりはあっただろうか。

これ以外にも排尿に関する症状は数多く存在するため、医学的にはひとまとめに「下部尿路症状(LUTS)」と呼んでいる(ラッツと読む)。LUTSを引き起こす原因はさまざまで、尿漏れ一つにしても、前立腺肥大症や過活動膀胱、尿道炎、糖尿病、神経の病気、薬剤や睡眠障害によるもの、加齢による筋力の低下などが考えられ、複雑なものだ。

参考までに、LUTSの原因となる主な病気を列挙してみよう[3]。

  • 前立腺の病気(前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺癌)
  • 膀胱の病気(膀胱炎、過活動膀胱、膀胱癌、膀胱結石など)
  • 尿道の病気(尿道炎、尿道狭窄、尿道憩室)
  • 脳の病気(脳血管障害、認知症、パーキンソン病など)
  • 脊髄の病気(多発性硬化症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど)
  • 末梢神経の病気(糖尿病、骨盤内手術後)
  • その他(薬剤性、多尿、睡眠障害、心因性)

このようにLUTSの原因は多岐にわたるので、「尿漏れなら△□病」などとすぐに決められるものではない。なにが原因で尿漏れを引き起こしているのかを突き止めるためには、泌尿器科に行って専門的なメディカルチェックを受ける必要がある。尿漏れのセルフケアで改善しないなら、早めに受診しよう。

LUTSを治療してEDリスクを減らそう

最後にもうひとつ、男が知っておきたいLUTSにまつわる知識を紹介しておこう。それは、LUTSがある人はEDになりやすいという事実だ。しかも、LUTSが重症であるほどEDになるリスクが高いということも分かっている[4]。排尿機能を左右する要因として血流の低下や交感神経の亢進があることは前述したが、これらはEDの原因にもなり得る要素でもある。

いつまでも自信に満ちた活力・精力あふれる男で居続けるためにも、尿漏れを放置せず、きちんと対処・治療しておくことをお勧めする。ぜひ『EDが怖いならタバコはNG!EDの意外な原因とは』もご一読いただきたい。

参考文献

  1. [1]青木基(花王株式会社生活者研究センター). 50代以上の3人に1人に症状あり 男性の尿もれの実態と「おもい」. くらしの現場レポート2018.
  2. https://www.kao.co.jp/content/dam/sites/kao/www-kao-co-jp/lifei/report/pdf/16.pdf
  3. [2]伊藤直樹. みなさんのおしっこの悩み解消します. NTT東日本札幌病院 第193回健康セミナー 2016
  4. https://www.ntt-east.co.jp/smc/caller/seminar/seminar_193.pdf
  5. [3]日本泌尿器科学会. 男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン. リッチヒルメディカル2017
  6. [4]日本性機能学会, 日本泌尿器科学会. ED診療ガイドライン 第3版. リッチヒルメディカル 2018

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