生活習慣病
2018.12.03

脂肪肝で何が悪い!? 酒だけじゃない脂肪肝の原因

飲ん兵衛に最も馴染み深い病気「脂肪肝」。禁酒はしたくないし、特にこれといった症状はないからと放置していないか。肝臓は多少のダメージを受けても沈黙を守る臓器だ。それに甘えている間に、いずれ身体のあちこちが悲鳴を上げ始めるのは必定。さらに、男性の活力や性機能に大きな影を落とす可能性もある。ぜひこの機会に脂肪肝への対策を始めてほしい。

健康診断や人間ドックで「脂肪肝」を指摘される男性は多い。ものの本によると、毎日飲酒をする人や過度の飲酒をする人の90%以上に脂肪肝が認められるという[1]。一方、酒をそれほど飲まない人でも脂肪肝と診断されることもある。肥満やメタボを伴うことが多いので「メタボリックシンドロームの肝臓病」とも言われている[2]。下の図を見てほしい。

この図はメタボで連鎖的に起きてくる不調や病気のつながりを表したもので「メタボリックドミノ」という[3]。高脂血症のドミノのすぐ先に脂肪肝があるのが見えるだろう。また、その先に心不全や脳卒中などの重大な病気と並び立つED(勃起不全)のドミノもある。このように、脂肪肝と診断されたらもう黄色信号だ。いつまでも男として精力的に過ごすためにも、脂肪肝を放置するわけにはいかない。

なお、メタボリックシンドロームについては『メタボが男の活力・精力を奪う―原因を知って対策を!―』を参照してほしい。

脂肪肝の原因は酒だけではない

肝臓には過剰な栄養素(糖質、脂質、タンパク質)を中性脂肪に変換してプールしておく機能が備わっている。脂肪を溜め込んだ肝細胞が30%を超すと脂肪肝と診断されることになる。

脂肪肝の原因はアルコールの飲み過ぎであることはよく知られている。肝臓がアルコールを分解している最中は、脂肪が貯まりやすい状態になってしまうのだ。ツマミやシメをしこたま食べた挙げ句にそのまま寝てしまうと、消化・吸収した糖や脂、タンパク質のうち過剰な分は肝臓が中性脂肪に変換して溜め込むことになる。こんなことを繰り返していると肥満になるのは火を見るよりも明らかだ。

さらに、肥満はインスリン抵抗性(血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなる状態)をもたらし、その結果として肝臓での脂肪の合成が促進され、ますます肝臓に脂肪が貯まるという悪循環が起こる。これが一般的な脂肪肝の成り立ちである。

脂肪肝は基本的には良性だが…

肝臓は脂肪が過剰に溜まったくらいでは音を上げない我慢強い臓器なので、脂肪肝では自覚症状が何も出ないのが普通だ。多くの場合は健診などでの血液検査(AST、ALT、γ-GTPなど)の異常値や、腹部の超音波(エコー)検査で「肝臓が白く見える」ことで脂肪肝だとわかる。

8割程度の人では脂肪肝のままで変化はないが、1~2割の人では脂肪肝から肝臓に炎症が起きて(肝炎)、肝硬変や肝がんへと悪化することがある。特にメタボを合併している場合は悪化しやすいので注意が必要だ[2]。

もし肝炎になっても、これと言って分かりやすい症状が出るわけではなく、少しだるくて、風邪を引いたかな、という程度だ。肝臓が悪いことを知らせる症状、例えば黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)やクモ状血管腫(赤い糸くずのように血管が浮き出る)、手のひらが赤くなったり、出血しやすくなったりするようになったら、もはや完全な回復は見込めないほど悪化している状態であることが多い。

EDや男性更年期につながることも

脂肪肝では肝臓に中性脂肪が溜まりすぎている状態であるため、血液中の中性脂肪も多くなっていることがよくある。健診結果の脂質代謝の項目で「トリグリセライド」や「TG」を確認してみよう。150mg/dL以上なら高トリグリセライド血症ということになる。

油っぽい食べ物を大量に摂ったら中性脂肪の値が上がるのは感覚的に理解しやすいが、これ以外にも中性脂肪が上がる原因がある。それは男性ホルモンだ。実は男性ホルモンは、脂肪を分解させて、合成を抑制する方向に作用する。筋肉に作用してインスリンを効きやすくし、エネルギー消費を促進するようにも働く[4]。

若いうちは揚げ物をいくら食べても健診で引っかからず、太りもしなかったのは、男性ホルモンが十分に分泌されていたからだ。加齢などによって男性ホルモンの分泌が低下すると、脂肪の分解や合成抑制が働きにくくなり、中性脂肪が上がり、肥満になってしまう。さらに困ったことに、肥満そのものが男性ホルモンの分泌を下げる可能性も指摘されているのだ[4]。

男性ホルモンと言えば、男性の活力や精力の源ともいえる重要なホルモンである。この分泌が異常に減ってしまうと、男性更年期と呼ばれるような状態になる(詳しくは『疲れやすい、勃たない…40代から増える「男性更年期」にご用心!』を参照)。

また、中性脂肪の増加は動脈硬化につながり、勃起に必要な血液が陰茎にうまく送り込めないなどしてEDを起こすことにもなりかねない(詳しくは『EDが怖いならタバコはNG!EDの意外な原因とは』を参照)。

脂肪肝ならダイエットと運動も

それでは、脂肪肝を改善するにはどうしたらいいのだろうか。

酒飲みの脂肪肝なら禁酒が定石

毎日アルコールを30g以上(ビール大瓶1本強、日本酒1合半、ワイングラス2杯半、ウイスキーではダブルで1杯半が目安)飲んでいるようなら、アルコールによる脂肪肝と考えられる[2]。この場合は禁酒すれば肝臓がもとに戻ることが期待できるが、現実にはなかなか厳しいかもしれない。

せめて今よりも節酒することにして、あとは必要以上の糖分や脂質をとらない、すなわちヘルシーなツマミに変えて、シメは食べないという努力が必要だろう。もし食べてしまったら運動してその分を消費しよう。体重が数キロ減っただけでも血液検査の値が改善することがよくあるので、ぜひトライしていただきたい。

酒飲みでなくても肥満は解消すべし

脂肪肝は、酒を飲まない、飲んでもアルコール量が30g/日も行かないような人でもなることがある。この場合は医学的には「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれている[2]。これは、メタボリックシンドロームの一つの現れとして出てきている脂肪肝なので、減量して内臓脂肪を減らすことが必要だ(具体的な方法については『メタボが男の活力・精力を奪う―原因を知って対策を!―』を参照のこと)。

なお、非アルコール性脂肪性肝疾患では1~2割の人で肝炎を起こして悪化することが知られているので、一度は専門の医療機関(消化器科、肝胆膵内科など)で詳しい検査を受け、ただの脂肪肝なのか、悪化傾向があるのかを調べてもらうことが望ましい[2]。

たかが脂肪肝、されど脂肪肝。負荷を加えられてもじっと耐える男らしい肝臓に敬意を払い、今晩から飲み方・食べ方を含めた生活習慣を少しでも変えてみてはいかがだろうか。

参考文献

  1. [1]デニス・L・カスパーほか編. ハリソン内科学 第5版. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2016; 2104-2109
  2. [2]日本消化器病学会. 患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド. 2016
  3. [3]伊藤裕. メタボリックドミノとCKD. 日本内科学会雑誌 2011; 100(1): 191-198
  4. [4]柳瀬敏彦. テストステロンと肥満. アンチ・エイジング医学(日本抗加齢医学会雑誌)2016; 12(3): 340-347

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