生活習慣病
2018.12.26

痛風の原因はビールや白子だけじゃない!何に注意すべき?

レバーや白子、ビールなど美味い酒や肴を楽しみ過ぎた代償として痛風は有名だ。プリン体はすっかり悪者扱いされ、アルコール飲料の売り場にはプリン体を含まないと謳う商品が多く並ぶ。しかし、「プリン体の摂取を控えて痛風を防ぐ」という対策だけでは不十分だということをご存知だろうか。食品パッケージの文言に惑わされるままにならないように、今一度痛風の原因について正しく認識しておこう。

「痛風の原因=食べ物」は不十分?

ある日、突然親指の付け根などに激痛をともなう腫れが生じ、歩くことすら困難となる痛風。原因は生活習慣によるものと一般的に知られており、食品に含まれるプリン体が悪さをしていると考えられてきた。プリン体含有量が高い食品は、レバー類や白子、エビ、出汁スープなど旨味が特徴のものが多く、美食家がかかる病気などと呼ばれることもある。

しかし、近年では痛風の主な原因がプリン体の摂取という説は見直されてきている。なぜなら痛風の原因となるプリン体の総量からみると、食品から摂取するプリン体は2割程度しかないということがわかってきたからだ。では、残りの8割はどこからやってくるのだろうか?答えはなんと、我々の身体が自ら作り出しているのである。

そもそもプリン体とは?

プリン体とは、「プリン環」という構造を持った物質の総称で、細胞の核(DNAやRNA)などに含まれている。細胞の核はあらゆる生物の細胞内に存在しているため、プリン体もほぼすべての食品に含まれている。プリン体の役割は、そのような細胞の核の材料になったり我々が生きるためのエネルギー源になったりすることだ。極力摂るべきでないものという印象とは反対に、生物には必要不可欠な存在なのである。

食事から摂取する以外では、プリン体は主に体内で常に行われている細胞の新陳代謝によって生み出される。古い細胞が分解されると、内部の核からプリン体が産生される。続いて肝臓で処理されて、最終的に「尿酸」という物質になって尿と一緒に排泄される。尿酸は水分に溶けにくいため、体内で増えすぎると結晶化し、これが関節に付着することがきっかけとなり痛風の痛みや腫れを引き起こす。

健康な状態であれば、尿酸の産生と排泄のバランスが取れているので痛風になることはない。しかし、なんらかの原因で産生過剰になったり、排泄が低下したりする状態(高尿酸血症)が長年にわたり続くと痛風になるのだ。高尿酸血症を引き起こす、食べ物以外の要素には何があるのだろうか。

意外と知らない痛風を引き起こす生活習慣

痛風を専門に研究している日本痛風・核酸代謝学会が作成したガイドラインから、痛風の発症リスクを上げる生活習慣を紹介する[1]。痛風の予備段階である尿酸値が高い人は言うまでもないが、高尿酸血症の割合が増える30代以降の読者はぜひ注目していただきたい。

メタボリックシンドローム

痛風とメタボリックシンドロームの間には強い関連があり、調査によると痛風患者の37%がメタボリックシンドロームであったそうだ[2]。メタボリックシンドロームの条件の一つである、内臓脂肪型肥満は尿酸の過剰産生を促進すると考えられている。いわゆるポッコリお腹体型の人は減量を検討した方がよい。

運動不足

メタボリックシンドロームの改善にも関連するが、肥満であれば適正体重を目指して週3回程度の軽い運動が推奨されている。体重の目安としては、BMI25を越えないようにするのが望ましい。身長別だと170cmで72.2kg、175cmで76.6kg、180cmで81kgとなる。ただし、過度な運動やウェイトトレーニングなどの無酸素運動は尿酸値を上昇させてしまうため、強度は程々にするのがおすすめだ。

アルコール

ビールこそプリン体の代名詞のように呼ばれているが、だからと言ってウイスキーや焼酎で痛風の心配が無くなるわけでもない。確かに、ビールはアルコール類の中でプリン体を多く含み、また、ビール自体が沢山飲まれる酒類なので尿酸値も上がりやすい。しかし、アルコールそのものが尿酸の産生と、尿酸排泄の阻害を促進してしまうのである。プリン体ゼロと書かれた缶チューハイや発泡酒を選んでいるから、安心と思わないようにして欲しい。

砂糖入りドリンク

下戸で甘党の読者も、飲み物の選び方には気をつけよう。2008年の報告によると、砂糖入り飲料の摂取量が1日に2回以上の集団は、1か月に1回未満の集団に比べて痛風発症リスクが1.9倍高かったとのことだ。ちなみに人工甘味料を用いた飲料では痛風との関連は認められなかったが、だからといって水代わりに飲むのもおすすめしない[3]。

痛風だけじゃない! EDやうつも引き起こすメタボ

運動やアルコール、糖分の制限などは、メタボリックシンドローム対策としても有効である。本稿では痛風について中心に解説したが、メタボは生活習慣病の危険信号となる存在だ。よく知られている脳卒中や心不全だけに限らず、EDやうつなどを引き起こす可能性もある。中高年に差し掛かっているならば、今後の人生にも関わってくるため早めに対策を打っておこう。

『メタボが男の活力・精力を奪う―原因を知って対策を!―』

参考文献

  1. [1]日本痛風・核酸代謝学会. 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第二版. メディカルレビュー社 2010;
  2. [2]堤善多ほか. 痛風患者におけるメタボリックシンドローム, 痛風と核酸代謝 2008; 32(1): 25-31
  3. [3]Hyon K Choi, et al. Soft drinks, fructose consumption, and the risk of gout in men: prospective cohort study, BMJ 2008; 336

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