EDの原因・対処法
2018.12.26

「最近、朝立ちしてますか?」EDの隠れサインを見逃すな

冒頭から失礼だが、この記事を読んでいる男性諸君は「朝立ち」の調子は如何だろうか? 40~50代になって勃起力の低下が気になってくると、思春期のころは毎朝鬱陶しいくらいだった朝立ちも懐かしくさえ思えるだろう。実はこの朝立ちは、勃起力の低下、引いてはEDの隠れサインになることをご存知だろうか。朝立ちは些細な生理現象と考えがちだが、EDが気になりだしたときこそ、ぜひ直近の状況を振り返ってみて欲しい。

朝立ちはEDのバロメーター

朝立ちは、一般的には欲求不満の現れなどと揶揄されることもあり、よいものという認識はあまりない。しかし、ED予防の観点に立つと非常に重要なサインと捉えることができる。専門家の中にはわかりやすく説明するために、「朝立ちは陰茎の機能維持を目的とした定期的なトレーニングのようなもの」と表現することもあるのだ。

性的活動時以外に、どうしてわざわざ朝にトレーニングする必要があるのか疑問に思うかもしれないが、それは正しくない。このような性的興奮によらない勃起は主に睡眠中に起きており、たまたま勃起途中で目覚めた状態が、朝立ちとされているだけである。正式な医学用語でも、「夜間陰茎勃起現象」と呼ばれている。とは言え、一晩中勃起しているわけではない。睡眠中は浅い眠りの「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が一定周期で繰り返されるが、夜間陰茎勃起現象はレム睡眠時にのみ起きている。

朝立ちの回数が減る、もしくは止んでしまうことは、陰茎の機能が正しく維持されていないことを指す。この機能は複雑で、外からは非常に単純に見えるかもしれないが、内部ではからくり装置のごとく各器官が連鎖的に働いている。この複雑な機構を知ると、続くEDへの対策も納得して取り組めるはずなので、少し専門的な内容になるが続きを読んでいただきたい。

複雑な勃起の仕組み

勃起という現象は、自律神経の中の、リラックス時に優位となる副交感神経によって支配されている。性的に興奮したり、レム睡眠に入ったりすると、副交感神経が刺激される。そのシグナルは脊髄~骨盤の神経を通り、陰茎の神経までたどり着く。すると、陰茎神経の先から一酸化酸素が放出される。一酸化酸素は血管を広げる作用を持つため、陰茎に流入する血液が増大して海綿体が膨張、勃起が成立するというわけだ。ちなみに、この一連のプロセスには男性ホルモンも関わっており、各要素を調整する役割を果たしている[1]。

要約すると、勃起の物理的メカニズムには睡眠・神経・血管・男性ホルモン分泌が関わっている。そして、定期的な朝立ちは前述した専門家の言葉を借りるならば、「トレーニング」が通常通り行われていることを意味するのだ。逆に朝立ちの頻度が減っていると、いずれかのプロセスで障害が起き始めていると考えられるだろう。そのまま放っておけば、気分は乗っていても物理的に勃起できないため、セックス時に使い物にならなくなる恐れすらある。プライドが傷つきかねない状況を避けるために、何が必要となるのかを見ていこう。

元気な朝立ちを維持するには?

勃起現象のプロセスで、セルフケアが重要な部分は「血管」と「男性ホルモン」である。どちらも生活習慣の改善で、健康な状態を維持できるので留意して欲しい。

血管のしなやかさを維持する

血管の衰えとは、所謂「動脈硬化」のことだ。生活習慣病の原因となり、中高年が特に気をつけるべきものとして単語自体の認知度は高い。動脈硬化とは、血管の壁がしなやかさを失うことを指すが、その大きな要因に高血圧がある。ゴムホースに強い水流を通したときのことを思い浮かべて欲しい。ホースがパンパンになり、行き過ぎると破裂することもある。血管も同様に、そのような状態が続くと血管壁が傷害と修復を繰り返したあげく厚くなったり硬くなったりする。陰茎に繋がる血管は1~2mmほどの太さしかないため、動脈硬化の影響を受けて狭くなりやすい。

医学的に正しい高血圧の予防方法は、肥満の解消と定期的な運動というごくありふれたものである。しかし、そんな簡単なことならEDは薬で治せばよいと軽んじるなかれ。不健康な生活習慣から始まる動脈硬化は、進行すると心筋梗塞や脳卒中など別の深刻な状態に陥る危険性もある。

詳しくは、『EDで心配すべきは「動脈硬化」―腹上死しないために―』も参考にしてほしい。

男性ホルモンの低下を抑える

男性の体内で分泌される男性ホルモンの量は、一定ではない。20代でピークを迎えると、加齢とともに緩やかに減少する。本来の変化はゆっくり進むのだが、特に影響が現れやすいとされているのが、中年に差し掛かる40代以降だ。役職による職場ストレスや、悪い生活習慣の「ツケ」が重なることで男性ホルモンが急激に低下し、EDを始めとする不調が目立ち始めるのだ。

しかし、ホルモンの分泌低下は血液検査でもしない限り、確実に知ることは難しい。前もって普段から男性ホルモン分泌低下の影響を防ぐには、前述の肥満解消、運動の他、普段の振る舞い方も有効とされている。詳しくは『男の人生を決める「男性ホルモン」|減少を止めるためには?』をご覧いただきたい。

ホルモン低下が病的な場合は、病院での治療も行われている。どんな症状が出るかを知っておくと、定期的に自らを振り返ることができるだろう。『疲れやすい、勃たない…40代から増える「男性更年期」にご用心!』に掲載しているチェックリストを試すのもおすすめだ。

朝立ち、もとい夜間陰茎勃起現象にどんな意義があるにせよ、EDとの関係性について知ると有り難いものと認識できるのではないだろうか。「朝立ちが無くなったら黄色信号」を念頭に置き、永く性生活を楽しめるよう、生活習慣に気を配っていよう。

参考文献

  1. [1]Isidori AM, et al. A critical analysis of the role of testosterone in erectile function: from pathophysiology to treatment-a systematic review, Eur Urol 2014; 65(1): 99-112

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