栄養
2018.12.03

亜鉛の効果は?|セックスミネラルを意識して摂ろう

亜鉛(Zn)は「セックスミネラル」とい言う異名があるほど、性機能と関連している無機質(ミネラル)だ。亜鉛が不足すると男性ホルモン(テストステロン)の低下、ED(勃起不全)、精子の質低下などが起こるといわれている[1]。ここでは、亜鉛とはどのような栄養素で、不足するとどうなるのか、不足してしまう原因、亜鉛を豊富に含む食品、亜鉛の吸収を阻害する食品などについて詳しく解説する。

監修医師

監修 管理栄養士  横川仁美

亜鉛とは?

亜鉛(Zn)は原子番号30の金属元素で、人間が生きていくうえで食事から摂る必要のある無機質(ミネラル)の一種だ。人間の体内には約2gの亜鉛が含まれている。亜鉛は主に筋肉、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓、血液、前立腺、眼などに分布し、300種類以上の酵素(タンパク質)と結合し、子供の発育、皮膚の新陳代謝、味覚の維持、免疫機能などをサポートしている。そして、男の性機能にも関わっている[2-3]。

亜鉛が足りなくなるとどうなる?

このように、亜鉛は多様な作用をもつので、体内にある亜鉛の量が不足すると様々な不具合が生じることとなる。最も有名なのは味覚障害で、何を食べても味がしない、おかしな味に感じるなどの症状が現れる。これは亜鉛不足により細胞分裂がうまくいかないために起こるもので、他にも口内炎や皮膚炎、脱毛症などがある。

また、免疫機能が低下するために風邪を引きやすくなったり、慢性の下痢をしたり、感覚や認知機能の障害などが起こるともいわれている[2-3]。

亜鉛不足は男の自信を脅かす

これらに加えて、亜鉛不足は男にとって大きな問題を引き起こす。まず思春期までに亜鉛が足りないと、精巣や陰茎などの発育に支障が出る。さらに、男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が下がったり、ED(勃起不全)になったり、精子の質や量が落ちて男性不妊症になったりする[2-3]。亜鉛不足は男の活力や精力に悪影響を及ぼしかねないということを覚えておいてほしい。

亜鉛が不足する主な原因

では、体内の亜鉛が不足してしまうのはなぜだろうか。その原因はいくつかある[2-3]。

亜鉛不足を引き起こす原因

  • 亜鉛の摂取不足
  • 亜鉛の吸収を阻害する食品の過剰摂取
  • 加齢(消化吸収能の低下)
  • 医薬品の副作用
  • 糖尿病などの生活習慣病
  • 肝臓や腎臓の機能低下 など

中年にもなると、何らかの病気で薬を継続的に飲んでいる人が多くなってくる。亜鉛不足は病気そのものの影響でも起こるし、治療薬の種類によっては副作用として起こることもある。味覚障害や口内炎、EDなど亜鉛不足によって起こり得る症状に悩まされているのであれば、一度かかりつけの医師に相談してみてほしい。

以下では、主に亜鉛の摂取不足や吸収を阻害する成分に関する知識を紹介していく。

亜鉛不足を防ぐには?

日本人の場合、1日当たり10mgの亜鉛を摂取することが推奨されている[2]。しかし、中年男性の亜鉛摂取量は推奨量にはやや足らず、8mgくらいにとどまっているのが現状だ[4]。下記に亜鉛が豊富に含まれる代表的な食材を示すので、日々の食事の参考にしてもらいたい[5]。

食品100g当たりに含まれる亜鉛の量

  • 牡蠣(生):13.2mg
  • ビーフジャーキー:8.8mg
  • 牛ひき肉(焼き):7.6mg
  • 牛もも肉(焼き):6.6mg
  • 豚レバー:6.9mg
  • 煮干し:7.2mg
  • パルメザンチーズ:7.3mg
  • ピュアココア:7.0mg
  • 抹茶:6.3mg
  • ねりごま:6.0mg

亜鉛の吸収を阻害する食品

亜鉛を多く含む食品を摂っていても、体内にうまく吸収できない状態では、やはり亜鉛不足に陥ってしまう。一般的に亜鉛の吸収率は約30%とされている[2]。加齢に伴って人間の消化・吸収能力は弱っていくので、ただでさえ高くない吸収率が下がってしまう。亜鉛の吸収を阻害する成分を大量に摂っているようなら尚更だ。

亜鉛の吸収を阻害する成分・食品[3]

  • フィチン酸
  • 食物繊維
  • カルシウム
  • コーヒー
  • オレンジジュース
  • アルコール など

フィチン酸は未精製の穀物(玄米など)、小麦、豆類に多く含まれる成分で、亜鉛と結合することで消化管での吸収を妨げてしまう。逆に、タンパク質、クエン酸、ビタミンCなどは亜鉛の吸収を促進してくれる作用がある[3]。生牡蠣にレモンを搾ったり、赤ピーマンを牛肉で巻いて食べたりするとよいだろう。

なお、食生活を改善しても亜鉛不足が改善できない場合もある。その場合は病院で亜鉛補充療法を検討してもらおう。

亜鉛の安全性

亜鉛の毒性は極めて低いが、1日当たりの摂取量が45mgを超えるようでは摂り過ぎだ。長期間にわたり亜鉛を大量に摂取すると、銅の吸収阻害による銅欠乏、活性酸素を除去する酵素(スーパーオキシドジスムターゼ)の活性の低下、鉄欠乏による貧血、胃の不快感などを起こすといわれている[2]。

とはいえ、通常の食事を摂っている分には亜鉛の過剰摂取を心配する必要はない。亜鉛のサプリメントや強化食品を取り入れている場合は気を付けるようにしてほしい。万が一、体調が悪くなった際には製品を持って近くの内科クリニックなどを受診しよう。

参考文献

  1. [1]秋下雅弘(監). 男性ホルモンの力を引き出す秘訣 第1版. 大泉書店 2013; 110-111
  2. [2]厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2015年版)
  3. [3]日本臨床栄養学会. 亜鉛欠乏症の診療指針2018
  4. [4]厚生労働省. 平成28年国民健康・栄養調査報告
  5. [5]文部科学省. 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

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