栄養
2018.12.03

アルギニンの効果は?|血管拡張で男を立ち上がらせるアミノ酸

「アルギニンは体内で速やかに分解され、副産物として一酸化窒素(NO)を生成する」――男の自信を追求して日々勉強されている諸氏であれば、こう聞くと俄然アルギニンに興味をお持ちになるのではないだろうか。なぜならNOは勃起における重要な物質だからだ。ここでは、アルギニンとはどのような栄養素で、その効果はいかほどのものなのか、臨床研究の結果も踏まえ詳しく解説する。

監修医師

監修 管理栄養士  横川仁美

アルギニンとは?

アルギニンはアミノ酸の一種だ。アミノ酸とは、細胞がタンパク質を作り出すときの材料となるもので、生き物にとってはなくてはならない栄養素である(詳しくは『プロテインの効果は?|男の体躯はタンパク質で決まる』を参照)。アルギニンもタンパク質の材料になり身体の基盤として活用される他に、もう一つの大きな特徴がある。それが一酸化窒素 (NO) の産生だ。

NOが産生される仕組み

NOは体内でアルギニンを材料に一酸化窒素合成酵素により作られる(正確には、アルギニンをシトルリンへと変換する際の副産物として発生する)。このNOを介して、免疫機能の向上、成長ホルモンやインスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌促進、脂肪の分解促進、血管拡張などの多彩な効果を発揮するといわれている[1]。

勃起するにはNOが必要

このNOは勃起する際にも大きな役割を持っている。性的に興奮すると、陰茎の海綿体内にNOが放出され、この影響で周囲の血管が拡張し、海綿体への血流が増えることで勃起するという仕組みだからだ(詳しくは勃起の仕組みに関する記事『緊張や恐怖でEDになるのはなぜ?|不思議な勃起の仕組み』を参照いただきたい)。

アルギニンがNOを発生するのであれば、ED(勃起不全)にも効くのではないかと期待するのは当然だろう。実際にアルギニンとEDの関係について調べた臨床試験がある。

アルギニンは男性機能にどのくらい効く?

アルギニンとEDに関するいくつかの研究によれば、一定量のアルギニンを摂った場合には効果が期待できる可能性はありそうだ。詳しく見ていこう。

EDに効果ありとする臨床研究[2]

これはイスラエルで行われた研究である。ED男性を対象に、高用量のアルギニン(1日当たり5g)を飲む群(29人)と、偽の薬(プラセボ)を飲む群(17人)に分けて6週間にわたり試験を行った。その結果、性機能が改善したと報告したのはアルギニンを飲んだ群のうち9人(31%)、プラセボ群では2人(12%)であった。

この試験では事前に体内のNO量を計測しており、効果がみられた9人はいずれも試験前にはNO量が低かったのに、試験後はNO量が倍増していた。すなわち、NOが足りなくてEDになっていたような人は、アルギニンを補充することでNO量が改善し、勃起できるようになったと考えられる。

EDに効果なしとする臨床研究[3]

一方、ドイツで行われた研究では否定的な結果が出ている。ED男性30人を対象に、アルギニン(1日当たり1.5g)もしくはプラセボを17日間にわたり投与した。この結果、性機能が改善したと報告したのはアルギニン投与群で5人(17%)、プラセボ投与群で6人(20%)であり、アルギニンのED改善効果は認められなかった。

これらの相反する結果をどう捉えるか。大きな違いはアルギニンの摂取量だろう。効くとした試験は1日当たり5g、効かないとした試験は1.5gと、3倍以上の差がある。もしアルギニンを試すのであれば、1日当たり5g程度は摂らないといけないかもしれない。ただし、いずれも試験の質としては高くはないので、これらの結果ではアルギニンが効くとは断言できない。参考程度に捉えていただきたい。

アルギニンはどんな食品に多い?

では、アルギニンはどのような食品に多いのだろうか。アルギニンはアミノ酸の一種なので、タンパク質が豊富な食品、すなわち赤身肉、鶏肉、魚、乳製品などを摂ればいい(詳しくは『プロテインの効果は?|男の体躯はタンパク質で決まる』を参照)。下記に代表的な食材に含まれるアルギニンの量を示しておく[4]。

食品100g当たりに含まれるアルギニン量

  • 牛肉(もも・焼き):1.8g
  • 豚肉(ばら・焼き):1.3g
  • 鶏肉(むね・焼き):2.5g
  • ごまさば(焼き):1.8g
  • くろまぐろ(赤身・生):1.4g
  • さざえ(焼き):1.7g
  • くるまえび(ゆで):2.6g
  • パルメザンチーズ:1.8g
  • いり大豆:2.9g
  • ごま:2.9g
  • 油揚げ(焼き):2.1g

仮に1日5gを目指す場合、通常の食事からだけでは足りないことが予想される。サプリメントなどを活用して足りない分を追加するのも一手だ。

アルギニンの安全性

最後に、アルギニンの安全性について触れておこう。アルギニンはタンパク質を構成するアミノ酸の一種であり、体内でも合成できるような物質なので、経口で適量を摂取するならほとんど問題は起きないだろう。ただし、人によっては吐き気、腹痛、下痢、かゆみ、頭痛、アレルギー反応などを引き起こすことがあるようだ[1]。万が一、体調が悪くなった際には製品を持って近くの内科クリニックなどを受診するようにしてほしい。

参考文献

  1. [1]日本医師会ほか監. 健康食品・サプリメント成分のすべて2017 第5版. 同文書院.2017; 162-164
  2. [2]Chen J et al. Effect of oral administration of high-dose nitric oxide donor L-arginine in men with organic erectile dysfunction: results of a double-blind, randomized, placebo-controlled study. BJU Int. 1999 Feb;83(3):269-73.
  3. [3]Klotz T et al. Effectiveness of oral L-arginine in first-line treatment of erectile dysfunction in a controlled crossover study. Urol Int. 1999;63(4):220-3.
  4. [4]香川明夫. 七訂 食品成分表 2017 初版. 女子栄養大学出版部 2017; 102-159

今すぐ読みたい

「栄養」の関連情報